放課後スペースINBase
代表者:藤村元 所在地:備前市 設立年:2017年 メンバー数:23名 助成年度:2023年度 教育文化活動助成
活動の目的
岡⼭県備前市をはじめとする中⼭間地域では、主に10代の⼦どもたちが⾃⼰実現や社会参画を実⾏するための機会が都会と⽐べて⾮常に少なく、そこにむけて教育を提供する機関が学校や塾くらいしかないのが現状である。また過疎化・⾼齢化がすすむ中でナナメの関係を築く第3者との出会いも確保しづらい状況になっている。そのため、⼦どもたちが広い視野を持ち、⾃分たちが社会のために、⾃分のために何かができるという⾃信を持ちながら⼤⼈になっていくためには、なんらかの⽅法で⼤⼈との出会いや学校と家庭以外の活躍・学びの場を⼈為的に提供することが必要不可⽋であり、それを実現するための場所として放課後スペースINBaseを運営し、そこに来る子どもたちの自己実現と社会参画のお手伝い(伴走)をするのが本事業の目的である。
活動の内容及び経過
主に平日の午後から夕方にかけてJR伊部駅内の一角に放課後スペースINBase(インベース)という10代の子どもたちのためのフリースペースを開設した。子どもたちはそこで思い思いに過ごしながら、自分のやりたいことを探し、スタッフがその相談にのったり地域内外の人や団体を紹介することでそれを実現にむけて走らせることができた。具体的にはマルシェや猫カフェの企画、ガラスアートやイルミネーションへの挑戦、地元の推しポイントを紹介する雑誌の制作、地域のお祭りへの出店やステージの出演者調整・司会進行などである。また、地域の人たちや楽曲・動画の専門家と協力して地域のPR動画を制作し、それが備前焼祭りのテレビCMなどにも使用されたりするなど、10代の子どもたちが地域の中で活躍し、自己肯定感の向上やそれぞれの視野を広げることができた。
活動の成果・効果
年間約120日ほどの開館で、1年間でのべ1,000人以上、ユニーク数で150人以上が来館した。また、子どもたちの挑戦の数も大きいものでは先述のものを含めて10もの企画があり、小さいものも含めるとそれ以上の挑戦や出会いをこの場所をきっかけに生み出すことができた。子どもたちもこの場所での活動を通して、今までなにかを実現したくても「だれに相談したらいいか分からない」といった状態にあったのが、「ここに来ればやろうと思ったらできる」という認識に変わった。また、地域の人たちも、これまでは中高生との接点が持ちづらくお互いのことを想像でしか語れなかった部分が、実際に協力してなにかをやることでそれぞれの持つ特性やパワーを認識し、「10代と一緒になにかをやっていく」という文化が少なからず芽生えてきた。
今後の課題と問題点
この事業の最大の課題は「いかにして継続していくか」ということである。場所を運営するという性質上、場所にかかる固定費や毎日のスタッフの人件費が必要になってくる。ビジネスの観点からいえば、サービスの受益者からサービスの使用料をもらって運営するべきであるが、今回でいうとそれは中高生をはじめとする10代の子どもたちである。彼ら彼女らは基本的には経済力がなく、また保護者にその負担を求めると限られた子どもだけが参加できるクローズドな習い事のようになってしまう。そのためどうしても補助金や助成金に頼っての運営となってしまい、そうなると1年ごとの運営資金しか手に入らず、それでは継続性があるとは言い難い。どうにかしてこの事業をマネタイズする手段を見出して行くことが必要不可欠である。