2023年度そのうち国際芸術祭柴川敏之展2000年後のなんでそんなん
代表者:中野厚志 所在地:早島町 設立年:2013年 メンバー数:5名 助成年度:2023年度 教育文化活動助成(3ヵ年助成)
活動の目的
3年前から「そのうち国際芸術祭」という企画を行ってきた。「そのうち」という言葉は、目標に対して必ずそこに到達しなくてはいけないのではなく、自分のペースで目標に向かうことができる魔法の言葉だ。障害や健常など領域間にある壁も、一足飛びに飛び越えるのではなく、「そのうち」の精神であれば、力を抜いて乗り越えることができるかもしれない。また、「イドノウエ」の半野外ギャラリーであれば、感染症を気にせず気軽に見にこられる場所となり得る。今年度はアーティストの柴川敏之氏による「2000年後のなんでそんなん」という展覧会を開催した。あらゆるものを化石にする柴川氏。「2000年後」という柴川氏の制作におけるテーマは我々が提唱する「そのうち」の射程の広がりに繋がり、また、「なんでそんなん」という「他者が行う理解し難い行為やその痕跡」というテーマは人間の多様性や奥深さを感じるための化石のモチーフとして有効に働くことになる。未来から現代を見据える視座は、現代の課題や特殊性を顕在化し、思考する機会を与えるものとなると想定しており、「福祉」や「芸術」分野だけでなく多くの方に見ていただきたいと考えている。
活動の内容及び経過
タイトル|【柴川敏之|2000年後のなんでそんなん発掘調査展】
前期|2024年3月5日(火)〜3月16日(土)
後期|2024年3月20日(水)〜3月31日(日)
※3/31(日)最終日は開廊
時間|10:00〜16:00
定休|日、第1・第4月
会場|イドノウエ(岡山県都窪郡早島町前潟126)
観覧|無料
主催|ぬかつくるとこ
企画|そのうち国際芸術祭
助成|公益財団法人福武教育文化振興財団
【トークイベント】
日時|2024年3月31日(日)14:00-16:00
会場|ハナレ(イドノウエ横)
登壇者|柴川敏之(美術家・就実短期大学教授)
柴川弘子(ESD研究者・岡山大学助教)
柳沢秀行(大原美術館学芸統括)
小森真樹(アメリカ文化・ミュージアム研究者・武蔵大学准教授)
活動の成果・効果
告知|チラシ・WEB・SNS
来場者|約200名(地域住民、県外、関係者、メディア)
トークイベント観覧者|35名ほど
「2000年後のなんでそんなん」は、理解しがたい他者の行為やその痕跡に対して「作品化/化石化」を試みることによって、もともとそこに存在していた行為者や発見者の視点を再度想像し、2000年という壮大な時間軸を背景に多様性について思考する機会を提示した展覧会だ。展示会場は「2000年後の考古学者」が【発掘現場】で発掘した不可解な出土品(化石)を【研究室】で調査・研究し、【展示室】で研究成果を発表するというような仕立ての展覧会となっている。
また、柴川氏と縁のある研究者・学芸員を招いてのトークでは、化石制作のきっかけや、夫婦の事件簿をテーマにした展覧会、柴川氏の家庭での話も経由して、「なんでそんなん」や境界を超えた活動、言葉にまつわるお話まで多岐に亘った。
今後の課題と問題点
会場である「イドノウエ」は小学校の登下校ルート沿いでもあり、また、ほど近い(隣の隣の敷地)に地域の幼稚園があるため、目の前を通る園児や保護者、小学生がしばしば立ち寄ってくれた。だが、地元中学校やその他ステークホルダーを接続することへのアプローチが少し弱かった印象もある。興味関心がある人への情報発信はSNSなどを通して可能だが、地域の方への広報が課題だ。