次世代に災害の記憶を繋げる大切さと、それの子どもへの伝え方
代表者:安田伊織 所在地:倉敷市 設立年:2018年 メンバー数:8名 助成年度:2022年度 教育文化活動助成
活動の目的
西日本豪雨は真備町に甚大な被害をもたらした災害である。具体的には、河川の決壊や土砂崩れによる、関連死を除いた死者61人、住宅全半壊計8195棟、床上・床下浸水計7058棟という被害が出ている。私たちに身近な被害については、当時中学生だった私たちが登校に倍もの時間をかけてプレハブ校舎で学習したり、昔馴染みの店舗がなくなるなどで、日常の喪失感を感じさせられた。
しかしながら、建物の改修や地域復興活動などの懸命な努力がなされ、今や小さな子どもにその損失を感じさせない。
そこで、私たちは被災経験を活かして、子どもたちが自然災害から身を守る方法などを学ぶことができる地域を目指している。
そのために申請活動では、近年、全国各地に大きな被害をもたらしている豪雨災害などの風水害の記憶を風化させることなく、その被害への備えを徹底し、子どもたちが自分の命を自分の力で守る力を養うことを目的とした活動をした。
活動の内容及び経過
10月30日、倉敷市真備健康福祉会館(真備いきいきプラザ)にて、まびっこカエルキャラバンvol.3を開催した。そこで、真備の子どもたちと親、総勢78名がイベントに参加した。新型コロナウイルス対策のもと、グループに分かれ、計9ブースで防災プログラムを実施した。
防災プログラムでは、消火器的あて・ジャッキアップゲーム・毛布担架リレー・防災図工室・水害紙芝居・シャッフル・おうちの防災グッズなあにクイズ・家具転倒防止間違い探しなどを行った。子どもたちに分かりやすく、意欲的に学びやすいことを大切にしたプログラムである。また、真備近隣の高校に依頼し、自主制作したチラシでボランティアを募って、イベントに協力してもらった。事前研修や本イベントを通して、被災当時の真備町の様子や災害時の適切な行動を学ぶことができた。
活動の成果・効果
災害から時間が経つにつれて災害を知らない子どもたちだけでなく親御さんもいらっしゃった。その中で、私たち自身が次世代に災害の記憶を繋ぐ大切さを改めて実感できたことや、子どもたちに伝えることを通して実際に災害を経験していないボランティアの方々や親御さんも学ぶことがあったと思う。具体的には、被災時に少ない物資で少しでも快適に過ごすための道具作りを追求する防災図工室では、私たちが被災時に必要としたものを互いに考え、思い出しながら取り組むことができた。
また、チラシを通して募集したボランティアでは50名近い高校生が参加してくださった。子どもたちと年齢の近い私たち中高生が子どもたちと関わることで、より親しみやすい企画となったと思う。
今後の課題と問題点
今回浮上した運営上の問題点は主に、子どもを誘導する際の統率の不備、保護者の関心の引き込み不足、ブースの説明不足の3点が挙がった。そして、企画全体を通しての問題点として運営側の人数不足が生じた。子どもたちを誘導する際に楽しさのあまりグループからはみ出してしまったり思わず別行動を取ろうとしてしまう子がいた。ボランティアスタッフは事前研修での「子どもたちには優しく接しましょう」を真に受けすぎて注意ができなかったため制止できなかったのだと思われる。保護者の関心を引きつけるために必要な防災関連の話を子どもだけでなく保護者にも振ってみるなどのことができなかったこととブースの説明不足は直結していると思われる。ボランティアスタッフの人数は足りていたが当日運営を行うスタッフの人数が少なかったため1人で多数の仕事を請け負うことになってしまい円滑に仕事をまわすことや迅速なトラブル対応ができなかった。