地域に開かれた伝統文化を継承する「場」として「つくぼ片山家」を更に周知、活動の幅を広げた

団体名:特定非営利活動法人つくぼ片山家プロジェクト
代表者:滝口美保 所在地:倉敷市 設立年:2017年 メンバー数:36名
助成年度:2020年度 教育文化活動助成(3ヵ年助成)
  • イベント開催風景(能楽night)①
  • イベント開催風景(能楽night)②
  • イベント開催風景(能楽night)③
  • イベント開催風景(能楽night)④

活動の目的

当法人は「地域社会に対して、岡山県倉敷市帯高に残る古民家である「つくぼ片山家」の保存・活用と文化芸能の継承に関する事業等を行い、人と人、人と地域がつながるまちづくりや地域包括ケアの推進に寄与すること」(当法人定款3条)を目的に活動している。そうした法人の活動目的に則り、当該文化活動助成は「文化芸能の継承」を中心とした活動に対して助成金を活用した。
能楽や神楽などの伝統芸能の文化は岡山県のみならず全国的に指導者の高齢化や能舞台等の活動の場所の減少により、そのポテンシャルを十分に発揮できない状況にある。また、能楽や神楽という名称は知っていても実際にそれらを体験・鑑賞したことのある人々は減少の一途となっている。こうした現状に拍車をかけることとして「本物の伝統芸能」に触れる機会がなく、仮に貴重な機会として上演会等が開催されたとしても、開催経費等の関係で受講料・観覧料が高額となり、一般的な市民、特に学生や若者層はその負担から参加を躊躇してしまうといった課題があったため、当該助成を活用した。

活動の内容及び経過

今年度の助成活動(イベント)は下記の通り実施した。
◎2020.8.19オープンハウス「能楽night~藤戸を愉しむ~」
昨年度に引き続き好評であった能楽師の林宗一郎先生によるレクチャーイベントを開催。今年度は地元ゆかりの能の演目である「藤戸」についてわかりやすく講演を実施。
当初は2020年5月開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防の観点から開催を延期して当該日程での開催となった。なお、開催にあたっては会場収容人数の1/2に入場人数を制限。受付時に検温や手指消毒、参加者の連絡先の確認等の対策を実施した。
なお、下記イベントは開催の準備をしていたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防の観点から開催を中止した。


活動の成果・効果

本年度も継続して地域の古民家「つくぼ片山家」がもつ能舞台や茶室といった施設群を積極的に伝統文化の振興や継承、活動PRの場とすることを展開。地域活動に関心のある層に加え、伝統文化に関心のある熱心な層も当法人の活動に興味・関心を持っていただくこととなった。また、昨年度と同様、近隣住民からの施設利用依頼や企画提案も増加しており、地域活動がより促進されたと考える。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のため、不特定多数の集まるイベントや飲食を伴うイベントは中止、及び延期や規模縮小が余儀なくされたものの、地域の方からは「またコロナが落ち着いたら何か企画してほしい」などのお声がけもいただいており、一定の成果・効果を感じている。

今後の課題と問題点

1)活動継続のための資金獲得
質の高い企画・イベントを行おうとした場合、それなりの費用負担が発生する。本来であれば受益者負担の原則に基づき、参加者にその負担をお願いするべきところであるが、しばしばそれが高額になってしまうこともある。こうしたことが伝統文化や古典芸能のアクセスを阻害する「障壁」となっていることから、その負担を軽減するための助成や補助金を得られるよう運営することが必要となる。
2)地域住民(特に「若者層」「壮年期層」)へのさらなる活動浸透
能楽をはじめとする伝統文化芸能は日常生活のなかでは「身近なもの」ではない。それに加え、他の分野(映画・音楽・絵画等)のように、あらゆる媒体で望む形のコンテンツとして提供されていないこともあり、興味関心が低いと言わざるをえない。競争優位になれない活動を主戦場にしているため特定の参加者層にとっては参加への意欲がわかないことが想定される。

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