地域資源として現代の備前焼陶片利用の可能性を高めることが出来た
代表者:山形忠正 所在地:備前市 設立年:2011年 メンバー数:30名 助成年度:2019年度 教育文化活動助成
活動の目的
備前市内に多くある文化財史跡窯跡の保全や保護の意識を持ち、また備前焼の歴史を学ぶ施設〖埋蔵文化財管理センター〗があり郷土の魅力や歴史を掘り下げる機会になる。日常生活の中で出るゴミや廃棄物の中に地域資源に代わるものの一例として今回「現代の備前焼陶片」に焦点をあてた。加工することでアートやクラフト作品、美術教材にもなり、子ども達が郷土特有の地域資源であることを再認識し、〈環境〉に対して興味を持つことを目的にした。そして現代の陶片利用による可能性や創作例をあげ小冊子にまとめることで、廃棄していたものを地域資源の観点や利用価値を高め、次世代に繋げるために小冊子を作成した。
活動の内容及び経過
陶片回収・使用法にあたり現代の備前焼作家に理解と協力いただき、陶片の角を取り安全に加工する。夏より様々なイベント参加(併設)、工作ワークショップを開催(岡山市・備前市内参加者約200名)。子ども達は陶片の色・形から想像し、絵を描いたり目を描き入れキャラクターにしたり、遊びの中から陶片に触れ身近に楽しんでいた。また自分の気に入った陶片を何個も探したり、選びながら陶片どうしが触れる音もするので五感を通して体験できた。小冊子デザイン作成のための写真資料収集・参考文献、制作風景・活用方法、アート作品等をもとに作成。大人から子ども迄を対象にして、陶片加工の過程を知ることや身近にある文化財の体験学習、備前焼の歴史を紐解く考古学の調査探検資料として作成する。
活動の成果・効果
『備前焼』と聞くと高価なイメージ等があり、特に若い世代は現代生活の中では県内身近にありながらも少し遠い存在である。便利なものにあふれた現代社会の中で、郷土で育まれてきた文化・手間暇をかけ作る備前焼、文化財の窯跡を保全したり「環境」に対する視点から地域を考察する。割れた「陶片」を加工し、鋭利な角を取り安全にすることで地元特有の教材・地域資源として価値を高める成果。焼き物の器としての機能・用途、粘土以外の《材料》として子ども達は陶片に興味を持ち、工作ワークショップ等に参加する状況を見ると、違った発想や想像力を働かせ、より身近にある文化財や資源、郷土の歴史にも興味を持つ機会になることの効果を実感する。特に焼き締められた備前焼なので陶片と陶片が擦れ合う音に感動と興味を示していた。また小冊子の活用で、さらに陶片利用の可能性を広げることが期待でき、若い世代の感性で創造する効果がある。
今後の課題と問題点
備前焼陶芸界の停滞や閉塞感、伝統工芸継承として若手の減少等、業界とともに様々な地域の課題がある。次の時代へ「環境」に対する意識が高まり、対策が市民一人一人に求められる中、現在廃棄物である陶片は加工のコストや手間・時間がかかること、量に限りがあることがあげられる。また耐火物・窯焚き時等の熱エネルギー活用法、燃料となる薪に対する植樹活動をしたり、焼き物の町ならではの取組みを考察し、文化財資源を活かしつつ世代を超え、地域や企業とも連携をすること。関係人口を増やし持続可能な社会への取り組みが急がれる。