麦稈真田(ばっかんさなだ)の価値を見直してもらうきっかけづくり

団体名:相澤麻有子
代表者:相澤麻有子 所在地:笠岡市 設立年:2017年 メンバー数:1名
助成年度:2018年度 文化活動助成

活動の目的

麦稈真田を知っている世代と知らない世代、両者へ向けて麦稈真田の価値を見直してもらうきっかけづくりを目指す。ワークショップの実施、冊子を作ることで麦稈真田に対して丁寧に作られる良品、美しいもの、地域の中で育まれた良質な文化などポジティブなイメージづくりを目的とする。

活動の内容及び経過

笠岡市内お年寄りから麦稈真田について聞き取り調査を実施し、昔の内職や生活の様子そして麦稈真田の組み方を教えてもらった。そこで知り合ったお年寄りに講師となってもらい計7ヵ所で麦稈真田組みワークショップを実施した。これらの活動をまとめた冊子「麦稈真田のすゝめ」を2000冊作製し市内公民館、図書館、店舗、今後のワークショップ時に配布。

活動の成果・効果

16名の笠岡市内のお年寄りから聞き取り調査を実施し、当時の内職や生活の様子さらに3種類の麦稈真田の組み方を教えてもらった。聞き取り調査をすることで麦稈真田の理解が深まるだけでなく、話をしてくれたお年寄りたちが楽しそうに昔話をしてくれたのが印象的だった。
その教えてもらった昔の知恵や文化を若い世代に伝えるため、地域のお年寄りに講師となってもらい笠岡市内6か所、岡山市内2か所でワークショップを一緒に実施し約150名の来場者を迎えた。特に子供へのワークショップの会場では子供達が見たことも触ったこともない麦わらを使い彼らのおじいちゃん、おばあちゃん世代の先生から話を聞き一緒に手を動かす様はお互いにとって良い刺激となった。参加した子供の中には自分で帽子を作ってみたいと話す子もいた。
2019年2月の笠岡市生涯学習フェスティバルにて1年間の活動報告と3月に笠岡市歴史文化基本構想シンポジウムのパネラーとして活動発表。地元の文化や歴史研究に携わっている来場者が多数いた会場で活動報告したことで、自分の存在を知ってもらったことと、昔の情報や道具、畑の情報提供をしてくれた方があらわれた。
活動をまとめた冊子「麦稈真田のすゝめ」を2000冊作製し市内公民館、図書館、店舗、今後のワークショップ時に配布。冊子内でインタビューしたお年寄りが冊子を配ってくれ、次の聞き取り調査の対象者が決まった。帽子産業の関係者へも冊子が手に渡り今まで知らなかった麦わら帽子の歴史が知れ良い発見になったと感想をもらった。
麦稈真田についての冊子を作るとこで自分の活動を客観的に見ることができ、また出来上がった冊子を見た人の反応を見て次の展開を考えることができた。
2019年6月27日山陽新聞井笠版と7月3日山陽新聞夕刊に冊子の記事が載ったことにより冊子がほしいという問い合わせが約30件、更に麦稈真田と冊子の紹介のためRSKのお昼の番組の1コーナーより出演依頼を受けた。
新聞掲載とラジオ出演がきっかけで問い合わせをくれた方5名に直接会い話をすることができた。内4名は麦稈真田を懐かしく思ったお年寄りで、昔の農家の話や町中の帽子屋の様子を語ってもらい当時の様子をうかがい知ることができた。冊子をこれら出会った方々に見せると懐かしい、分かりやすく読みやすいと喜んでもらえ話が弾み、地域の足跡を文章や写真で残す大切さを感じた。

今後の課題と問題点

現在はまだ当時の様子を語ってくれ、ワークショップで指導してくれるお年寄りが元気でいるが、あと10年経てば彼らから教えてもらったり技術面での協力を得ることは困難となるのは避けられない。それをふまえ一人でも多くの声を残すこと、また伝承したい技の習得は必至である。

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