宮内踊りの保存継承活動による地域の活性化
代表者:山田一男 所在地:岡山市 設立年:1935年 メンバー数:36名 助成年度:2018年度 文化活動助成
活動の目的
宮内踊りは、江戸時代後期の宝暦年間(1750年代)吉備津神社の門前町、宮内に芝居興行に訪れた、花形歌舞伎役者「三桝(みます)大五郎」が振り付けて、この地の芸者衆に踊らせたのがはじまりと言われている。踊りの特徴は、歌舞伎の“六法”をくずして構成されたものと言われ、単純な動作をゆるやかな速度で踊る点にある。明治時代から踊られていたが、庶民には難しい踊りで、1935年頃、子供対象の「吉備津音頭」が作られ、宮内踊りを盛んにするため、「宮内踊り保存会」ができた。その後戦中戦後は一時衰退したが、復活しなければならないという気運から、活動が活発になっている。踊りは1959年に岡山県指定重要無形民族文化財に指定された、歴史ある踊りである。
宮内踊りは、太鼓と唄に合わせて踊る踊りである。歴史のある太鼓と太鼓台は老朽化しており、太鼓の張替及び胴の塗装修理と太鼓台の新調を行った。この太鼓は、宮内踊りの保存継承活動に無くてはならないもので、修理後、以前にも増して宮内踊りの保存継承活動を活発に行うことを通じて、市民、地域住民とコミュニケーションを図り、地域の活性化に貢献することを目的とした。
活動の内容及び経過
4月末に太鼓台を新調、太鼓は6月中旬に修理が完成した、宮内踊り保存継承活動は、下記とおり実施した。
- 例月の定期練習により、会員の踊りの技術の向上を図った。
- 吉備津神社夏祭りの奉納踊り(例年7月31日)に向けての各町内の練習に保存会の指導員が出向き、7月24日より7月30日まで、鯉山学区の町内を3カ所に分けて延べ8日間、延べ約180人の子供を含む地域住民に踊りの練習指導を行った。7月28日に吉備津大橋地区稲荷夏祭りに踊りを奉納した。その後、7月31日に吉備津神社夏祭りにおいて地域住民と共に踊りを奉納した。
- 9月16日、鯉山学区の敬老会に参加し、宮内踊り、栄西踊りを披露し、飛び入り参加もあり、高齢者とのコミュニュケーションを図った。
- 9月22日、鯉山小学校運動会で宮内踊りを、児童及び父兄全員で踊り、保存会指導員が踊りを指導し継承、普及活動を行った。
- 10月28日、高松城址公園において開催の「備中高松まほろば祭り」に出演し、宮内踊り、栄西踊りを披露した。
- 11月3日、鯉山学区コミュニティ祭りに出演、宮内踊り、栄西踊りを披露し地域住民も踊りに参加してもらい、コミュニケーションを図った。
- 吉備津地内に茶祖「栄西禅師」の生誕地があり、その縁で7月5日に「栄西禅師」が開山した建仁寺(京都)で栄西踊り、宮内踊りの奉納を行った。
- 栄西禅師の生誕地で行われる8月7日「七夕茶会」10月21日「名月茶会」に、宮内踊り保存会が招かれ、栄西踊り、宮内踊りを奉納した。茶会に訪れた地域住民にも踊りに参加してもらい、コミュニケーションを図った。
活動の成果・効果
宮内踊りの保存継承、後継者育成を目的とし、吉備津神社の夏祭り奉納踊り大会を通じ、大会まで各町内で練習会を開催し、踊りを体で直接体験してもらい、関心をもってもらう保存継承活動を行った。
また、「敬老会」「備中高松まほろば祭り」「鯉山学区コミュニティ祭り」などで踊りを披露し地域住民、高齢者等に飛び入り参加してもらうなど、コミュニケーションを図った。
さらに、小学校の運動会(学区の体育大会は台風のため中止)でプログラムの種目に「宮内踊り」を設けてもらい、全員(小学生、父兄)で踊り、興味、関心をもってもらえるよう保存継承、普及活動を行った。
宮内踊り保存会のこれらの活動を通じ、地域住民とコミュニケーションを図り、踊りの保存継承と同時に地域の活性化に貢献の一助になったと考えられる。
今後の課題と問題点
宮内踊りは、1959年に岡山県指定重要無形民族文化財に指定された歴史ある踊りであるが、会員の高齢化など後継者育成が保存会の今後の大きな課題である。