郷土玩具「百々人形」の伝承、普及の推進活動

団体名:百々人形保存会
代表者:福井 正 所在地:美咲町 設立年:2007年 メンバー数:12名
助成年度:2013年度 文化活動助成
  • 新生児に土人形の進呈

目的

百々人形は京都清水の豆人形をヒントに昭和8年から福田、中西両氏の発案で考案した土人形。獅子頭、鉢巻きだるま、天神人形や土鈴の達磨などで二百数種類確認できており、全国珍具芸術品協会にも認められている。昭和初期に制作が断絶していたものを、保存会が引き継ぎ伝承活動をしている。
更に継承から普及活動へ向けて育成を広げていくために人形制作の出前講座また、新生児に縁起物として進呈する活動など知名度の向上を図りながら、人形に興味を抱かせ伝承活動を進める。

内容・経過

伝統的郷土玩具として継承していくために、当時の土人形を参考にしながら次の活動を行った。
[活動内容]
①郷土玩具「百々人形」の歴史や土人形づくりの楽しさを伝承、普及(資料館で月2回=24回開催(第1、3火曜日午後)保存会メンバーの定期試作、制作活動及び、制作体験希望者の指導(希望者指導は3回))。
②町内の小学校授業、支援学級授業、児童館の夏休み体験学習、地域サロン活動また、宿泊スポレク活動の室内体験学習プログラムの中で「百々土鈴人形の土ひねりと色つけ講座」の出前講座を実施(18回で各回25〜30人)。
③町内小学校の土曜日ホリデーわくわく教室に参画、土人形制作体験教室を実施(4回で各20人)。
④津山市の生涯学習講座(博物館大人の社会見学講座、中央公民館のすこやかはつらつ講座)で人形の歴史講座と土人形色つけ体験教室を実施(27+30人)。
⑤町内新生児に縁起土鈴人形として進呈する活動(土鈴土人形125個進呈)。町内の新生児(年間約110人が誕生)に縁起物として、土鈴のだるま土人形の進呈を始める。
[活動経過]
⑴各学校、施設、団体に企画チラシで活動の内容説明に出向き、体験学習の普及啓発活動をした。年度途中で取り組みに難点はあったが、3校で実施できた。2校は新年度に向けて検討を取りつける約束ができた。地域や町の開催する文化祭に生徒の作品が出展された。
⑵新生児への人形進呈は、大変喜ばれているので次年度以降もできる限り続けていく(年間120〜130個)。
⑶美作国建国1300年に合わせて、人形の歴史を結びつけた講座と、制作体験をセットにした講座が評判がよかったので、これからも色々な組み合わせを考えながら学習機会をつくり、会場に出向く出前活動を進めていきたい。

成果・効果

この地域で長く生産され伝わってきた伝統的郷土玩具を知り、興味をもってもらうことができた。また、古くからこの美作の歴史と大きくかかわってきた土人形の学習講座への道筋ができつつある。そして、伝統的土人形の体験学習の場として知名度も上がり問い合わせが来るようになってきた。

今後の課題と問題点

この助成事業により、備品、制作資材、教材、当面の消耗品は確保できた。会員も増え、試作制作などは順調に経緯しており、作ることへの励みや意欲は向上し継続への道筋は整っている。場所の提供と体験の機会はできつつあるが、資金不足は歪めない。これからの課題として、体験学習、出前講座にある程度の受講料、材料費を負担してもらうことや、人形の販売も少しはしていかないと安定した継続ができないだろうと考えている。当初の目的はほぼ達成したが、この素朴で可愛い郷土玩具の末永い継承に向けて更なる自助努力が問われていると考えている。

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