岡山を代表する写真家の一人 山﨑治雄が遺した写真記録の掘り起こしと保存保護、調査研究、業績の普及顕彰

団体名:山﨑治雄の写真記録を保存顕彰する会
代表者:藤井 弘 所在地:井原市 設立年:2010年 メンバー数:8名
助成年度:2011年度 文化活動助成
  • 『写真家 山﨑治雄の見た岡山 昭和20〜30年a代編』チラシ
  • 『写真家 山﨑治雄の歩いた犬島1985〜1987』

目的

郷土岡山に暮らす次世代のため「共有財産としての写真記録の活用」を願って遺された山﨑の写真記録を通じ、「写真先進地」でもあった岡山の地において、岡山にしかない地域に根ざした記憶の継承に資することを目指す。

経過

2011年7月6日、岡山県立博物館にて調査。岡山県立美術館の学芸員も参加し、いくつかの山﨑の貴重な銀塩写真パネルを発見。2011年10月25~30日『写真家山﨑治雄の見た岡山昭和20~30年代編』(天神山文化プラザ第4展示室)を開催した。また2012年1月9日、第12回犬島遺跡パトロール&ガイド養成講座ツアー「犬島から高島へ」実施(犬島貝塚遺跡保護チームと共同主催)。その他、2010年度に引き続き、県内各地および東京各所のライブラリーにて調査を実行した。

成果

展覧会『写真家山﨑治雄の見た岡山昭和20~30年代編』(天神山文化プラザ第4展示室、2011年10月25~30日)を開催。期間中358人の展観を得、3度、新聞報道で紹介された。観覧者からは「なつかしい!」「もっと見たい」「生きた県史だ!」との声を聞くことができた。また岡山県立美術館主催『岡山の美術特別展示山﨑治雄の写真(第1・2回)』に協力。会期の重なりで相乗効果もあった。そして昨年度の『写真家山﨑治雄の写した岡山1938~1960』に続き、第2冊目『写真家山﨑治雄の歩いた犬島1985~1987』(写真・山﨑治雄/文・在本桂子)を刊行した。

今後の課題と問題点

山﨑治雄は生前、岡山県社会教育課関連の人々と仕事をすることが多く、またおもに作品を発表したのは戦後岡山の図書館、博物館、美術館等の機能が統合されていた旧岡山県総合文化センター(設立1957年、開館1962年)であった。その後、県立博物館が1971年、県立美術館が1988年に開館、そして県立図書館が2004年、県立記録資料館が2005年に開館し、同年、同センターは天神山文化プラザと改称しあらためて開館した。以上の時代の推移のなかで山﨑が発表した貴重な銀塩プリントが散逸していった可能性もあることがわかってきた。昨年、県立博物館等でいくつか貴重なプリントを発見することができたが、その経緯等まだまだ不明点が多い。本年度より県立美術館でも山﨑の紹介が開始された。今後、専門家の調査に期待しつつなんらかの協力をしてゆきたい。また山﨑も大きな役割を果たした「中国写真家集団」(本部:岡山市)については継続調査が必要。浅口郡六条院満州分村移民の東京写真展(c1940)については今年度の調査でも詳細が不明であった。

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