郷土文化の継承から地域を愛する心を育てる。加茂大祭への参加。
代表者:溝口隆治 所在地:吉備中央町 設立年:1996年 メンバー数:55名 助成年度:2010年度 文化活動助成
目的
940年余りの歴史をもつ岡山県重要無形民俗文化財である加茂大祭の文化継承を通じて、様々な世代の交流を図る。文化継承活動を通じて、地域の活性化を図る。地域の若者が郷土文化に親しむ機会を通じて、地域を愛する心や人との信頼関係を育て、未来を担う人材を育成する。
経過
4月:さんさん祭り(町イベント)吉備中央町が主催するイベントへ参加。棒使い、太刀振りの芸能を披露。
8月:夏祭りの開催(自主イベント)地域の夏祭りを開催し、地域住民およそ200名が参加する。焼きそば屋やうなぎつかみ大会など、いろいろなコーナーを運営し、売り上げは保存会の活動資金となる/鬼伝祭(町イベント)吉備中央町が主催するイベントへ参加。鬼に扮装し、祭りを盛り上げる。棒使い、獅子舞の芸能を披露する。
10月:吉備ハイツへ訪問(福祉施設慰問)町内の老人福祉施設へ訪問し、手拍子、笛、太鼓、棒使い、太刀振り、獅子舞を披露する/加茂大祭(メーンイベント)全員で力を合わせ、日頃の練習、勉強の成果を披露する。
6月〜11月:地域の草刈り(町委託事業)活動資金を得るため、吉備中央町の名所である宇甘渓の草刈りや清掃の委託を受ける。
9月・10月:伝統芸能の練習会。月〜金曜日は神社に集まり、芸能の練習を行う。3歳から70代の会員が集まり、担当する芸能の伝承を行う
6月~1月:祭りの勉強会。年長者からの聞き取りを中心に、加茂大祭の伝統やしきたりについての勉強会を開く。
成果
保存会の組織を設立していることで、祭りだけに限らず、地域イベントへの参加や慰問など幅広い活動を行うことができている。子どもたちが大人の技に憧れをもち、一生懸命練習をして身に付けた技を披露する姿は、何処へ行っても評価が高い。子どもたち自身も、地域で愛されてきた芸能や祭囃子を様々な方々に楽しんでもらうことを通じて、自分の育っている故郷に愛着を感じている様子が伺える。
以前は神社の氏子である家庭の男性のみで行っていた祭りであるが、時代の流れに伴い女性や地域外の者、また町のALTなど外国人の参加も可能となっている。保存会は祭りの伝統を守る年長者と新しい流れのバランスを保つ重要な役割も果たしている。
保存会が草刈りの委託事業や夏祭りの開催を行うことで、祭りの運営に必要な資金の一部を得ることができている。これらの活動は単に資金を得るためだけの活動ではなく、自分たちの住む町へ目を向けるよいきっかけとなっている。「ここは町の玄関じゃけん、もっと綺麗にしとかにゃあおえんなぁ」など、個々が自主的によりよい町づくりをしていこうという意識の芽生えも見られるようになってきた。
今後の課題と問題点
- 急速な高齢化や過疎化を伴うわが町では、祭りに必要な人材が不足している傾向が見られている。保存会が幅広く活動していくことで、祭りを手伝ってもらえる仲間を増やしていく必要がある。
- 代々、伝統芸能やしきたりは口伝で継承されているため、詳細な作法の映像や資料は残されていない。人から人へ伝えられていることが祭りの大きな魅力ではあるが、人材が不足する現在では、祭りを形にして残していく作業も必要ではないかと考えている。
- 運営をほぼ寄付で行ってきていた祭りであるが、年々高齢者にとっての負担が大きくなってきている。祭りの用具は長年の使用により、補修、買い替えが必要になってきたものが多いが、子どもたちには代用品でなく、本物の用具を使うことでの感触や意味を知って欲しいと願う。運営に関わる費用をどうやって得るかということは大きな問題の一つである。