自分たちの活動を社会に発信しませんか
―プレスリリースとは何かを学びましょう
「自分たちの活動を社会に発信しませんか」では、プレスリリースとは何かを学びました。その体験をリポートします。(取材・文/黒部麻子)
「新聞やテレビで、自分たちの活動を取り上げてもらえたら……」
そんな思いをもつ人は少なくないでしょう。SNSでの発信ももちろん大切ですが、メディアに取り上げられれば、認知度はぐっと高まります。では、どうしたら取り上げられやすくなるのでしょうか。どんなプレスリリースをすると効果的なのでしょうか。そんな疑問に対する答えを、山陽新聞のベテラン編集委員、瀬尾由紀子さんにお聞きました。
プレスリリースとは、企業や地域活動団体などから報道機関に向けて情報提供や告知を行うことで、記者が取材するきっかけのひとつとなるものです。記者クラブへの投げ込みや、マスコミ各社にメールやFAX、郵便などで送ります。これを記者やデスクが見て、取材するかどうかを判断するのですが、メディアの目にとまるプレスリリースとは、どのようなものでしょうか。
何といっても大事なのが、見出しとリード(冒頭に短文で書く概要)で、「県内で初」「オンリーワン」といった言葉があると、やはり記者の目をひきます。ニュース性があるかどうかが一つのポイントで、新聞社はそこから「見出しが立つか」、テレビ局は「(映像として)動きがあるか」という視点でリリースを見る、というのも頷けます。アンケートなどの調査結果は、実はマスコミが自社で取ろうとすると大変だそうで、こうした情報を出すのも良いそうです。また、単発のリリースよりも、「着工→竣工→オープン」のように、スケジュールがある場合はそれを示すことで、メディアとしても取材の予定が立てやすくなります。
成功事例として、早島中学校の「い草卓球大会」が紹介されました。これは特産のい草を貼った卓球ラケットを中学生たちが商工会の応援を受けて作り、このラケットを使った卓球大会を開催するという一連のイベントをプレスリリースしたことが奏功し、取材が殺到したといいます。また、取材を受けた中学生が後日、新聞投書欄に投稿するなど、良い循環が生まれました。
「記者というのは、自分に直接言ってもらうのがうれしいんですよ」と瀬尾さんは言います。プレスリリースも知り合いの記者がいれば直接送ったほうが効果的で、また書面が不十分でも、記者に直接思いを伝えて記事化につながったケースもあるそうです。ひとりよがりにならないよう、相手とのコミュニケーションを大事にすることが、より良い広報につながります。メディアの側を熟知する瀬尾さんからの具体的で実践的なアドバイスは、とても参考になりました。
〈出展〉fueki 79(2022/09/25)