「グラフィックレコーディングの基本の『き』を学ぶ」
最近、話題のグラフィックレコーディング(略してグラレコ)。人々の対話や議論を、グラフィックにして可視化する手法です。私はライターという仕事柄、お話を聞いてメモを取る機会は多いのですが、いつも文字ばかりでぐちゃぐちゃ。絵は全く描けません。そんな私でも大丈夫かしら…?と、一抹の不安を抱えて参加しました。(取材・文/黒部麻子)
当日の参加者は、すでにグラレコを練習中という方から、初めてやってみるという方まで、いろいろでした。講師の北浦さんのほんわかしたトークで、和やかに始まります。
グラレコで大事なのは、「タイトル、トピック、流れ」を書くこと。グラレコの魅力は、論点のズレが整理できたり、議論への入りにくさを解消する契機になること。そんなお話に期待がふくらみます。
聞き入っていると、「とにかくやってみましょう!」と、お題が出されます。まずは「基本アイコンを真似して描く」。北浦さんのお手本を見ながら、3分間で描けるだけ描いていきます。次は「参加者のみなさんのアイコンを描く」。その次は、「コロナ禍での〇〇」という全員共通のお題が出され、自分自身のストーリーをグラフィックにします。徐々に難易度が上がっていきます。
最後は、「シノノメキッチン」の活動をしている高校生の牧原直太朗さんのお話を聞いてグラレコにする、というワークです。私はいつもの癖で、とりあえず一通り文字でメモを取ったのですが、北浦さんは「30分までに描いてください」と言う。時はすでに14時25分。「30分間で」の間違いかな?と思ったのですが、ぴったり14時30分に、非情のゴングは鳴ります(笑)。私は牧原さんのアイコンをどう描くか思案しているうちに終わってしまいましたが、みなさん、しっかりグラレコができていました。話を聞きながら同時に流れを掴み、グラフィックで表現していくって、なんて高度な技でしょう。
濃密な2時間でした。グラレコという新たな世界を垣間見、優しくもスパルタな北浦さんの指導のもと、出来はともかく一生懸命手を動かしたことで、何か新たな脳の回路が開かれたような気がしました。普段からイラストや視覚的な表現が得意な人はもちろん、私のようなタイプの人にもおすすめです。
〈出典〉fueki74号/2021年1月25日