and F 教室体験記

「動画づくりの基本の『き』を学ぶ」

  • 知る
  • 2022.05.18

昨今はオンライン、なかでも動画で発信する機会が増えています。だれでも気軽に発信できるからこそ注意しておきたいのが、著作権や肖像権のこと。ネットに情報はたくさんあるけれど、権利関係の話は難しく、何が正しいかわからないこともあるし、全体像が見えないと、必要な情報を見落としていないかどうか不安が残ることもあります。今回の講座は、岡山科学技術専門学校の源先生から、動画づくりの際に知っておきたい法律的な注意点や動画制作のコツを幅広く学べる、とても良い機会でした。(取材・文/黒部麻子)

参考になる話に真剣な参加者

知的財産権の中には、著作権、産業財産権などがあり、さらにその産業財産権の中に、特許権や商標権などがあります。たとえば、大ヒット「鬼滅の刃」の主人公が着ている緑と黒の市松模様。発行元の集英社が商標出願をしていますが、伝統柄と色の組み合わせのみでは、商標権が認められるのは難しいのだそうです。

また著作権関連で、ある映画会社のオープニングロゴを模倣したものを結婚式用のビデオで使い、300万円の罰金となった事例も紹介されました。著作権を侵害すると、「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」ですから、じゅうぶん気を付けたいですね。ただし、何がなんでもダメというわけではなく、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」での引用であればOKだそうです。その場合きちんと出典を明記することも忘れずに。また、著作権者への通知や使用料の支払いは必要ですが、「学校教育の目的上必要と認められる限度において」教科用図書に掲載することも認められています。著作権フリーの音源が手軽な価格でダウンロードできる「Audiostock」なども紹介していただきました。

休憩を挟んで、後半は映像制作のコツを伝授!

特に「なるほど!」と膝を打ったのは、「山場のつくり方」です。1本の映像の中で、起承転結それぞれの割合をどうしたら「魅せる」作品になるのか。1:4:2:1という黄金比があるのだそうです。おなじみの時代劇「水戸黄門」を参考に解説していただきましたが、これは映像のみならず、文章の世界でも応用できそうです。

そのほか、撮影時のイマジナリーラインや、音の効果的な使い方、字幕の入れ方、色の組み合わせなどなど、大変参考になるお話が目白押しでした。参加者から「連続講座にしてじっくり聞きたい」という声が出るほど。幅広く深い話を、ぎゅっと濃縮して学ぶことができた、実に濃密な2時間でした。

(2021年5月25日 fueki No.75号)