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ぼくが、わたしが活動を始めた理由
伝統技術の素晴らしさを広く伝えて
一般社団法人勧進プロジェクト代表 芥川英祐
高校生の時、宮大工になりたいと思い、奈良で修業をしました。帰岡後は文化財建造物木工主任技術者の資格を取得、国宝修理から復元まで様々な現場で経験を積み重ねています。
2020年12月「伝統建築工匠の技」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、今、伝統建築は注目を浴びています。匠の技が世界に認められたと同時に、その技が衰退の一途をたどっているのも事実です。原因は大量消費、大量生産の波に押され経済重視で長く持たない建築が増えていることだと思います。仕事柄、自分が工事をしていない現場でアドバイスを求められることもあるのですが、職人に知識と経験があれば、もっと他の方法もできたのではと感じてしまうこともあります。
そこで、勧進プロジェクトのイベントや動画配信等を通して、建築関係者だけでなく未来を担う子供たちまで、伝統技術や日本建築の素晴らしさを広く伝えていきたいです。昔の人は文化財を目指したわけではなく、人に負けないよう競った結果、素晴らしい技術が遺ったのだと思います。近年SDGsとよく耳にしますが、本来の日本建築には無駄のないSDGsが当たり前のように盛り込まれていることを知ってほしいと思います。
(2021年5月25日 FUEKI No.75)