ぼくが、わたしが活動を始めた理由

地域の課題と生態系を考えるきっかけに

建部獣皮有効活用研究所・代表 頼本ちひろ

  • 知る
  • 2022.04.27

野山を自由に駆け回っている野生生物。人と同じ命ある存在ですが、増えすぎてしまったことで、田畑を荒らし草木を食べ過ぎてしまうという問題が起こっています。

数を調整するために地域の猟師さんが捕獲して、お肉はジビエとして食用に、皮はジビエレザーとして革製品にすることができます。そのジビエレザーを使ったワークショップをしてほしいと依頼されたとき「単なるクラフト体験ではなく、地域の課題について考えるきっかけをつくりたい」という思いで活動を始めました。

小学校で行ったワークショップでは獣害問題について説明した後にクラフト体験を行い、中学生には工房を見学してもらい、使う道具や下処理後の皮を見てもらいながら地域のことを話しました。生き物の命をいただくことは「かわいそう」なことですが、なぜ捕獲するのか、なぜ増えすぎているのか、どんな人が関わっているかなど一緒に考えてほしいことや伝えたいことがたくさんあります。

地域の問題や生態系について学校で習う内容も、ジビエレザーに触れながら話をすることで身近な課題として感じられるかもしれません。教室の机の上で学ぶことが地域の話と繋がっていくことで、未来を担う子どもたちにとって小さな気付きになってほしいと思っています。

地域の中学校の見学を受け入れ、ジビエレザーの特徴、加工に使う道具の説明などを通して地域の課題を身近に感じてもらう

(2021年5月25日 FUEKI No.75)